エイシンフラッシュの基本情報
馬名 | エイシンフラッシュ |
生年月日 | 2007年3月27日 |
父 | King’s Best |
母 | ムーンレディ |
戦績 | 27戦6勝 |
主な勝ち鞍 | ’10日本ダービー(G1) ’12天皇賞(秋)(G1) |
調教師 | 藤原英昭 |
騎手 | M.デムーロ |
馬主 | 平井豊光 |
生産者 | 社台ファーム |
サラブレッドが生涯1度しか立てない舞台で、この上ない光を浴び煌びやかな競走馬人生を期待したのにも関わらずその後は長いトンネルに入ったわ。
その名の通り最も権威ある舞台で輝いた馬
エイシンフラッシュはドイツからの持ち込み馬よ。
故にエイシンフラッシュにも過度な期待は掛けられていなかったの。
デビュー戦は2009年7月阪神1800m。
人気は5番人気で結果は6着だったわ。
クラシック出走にはどうしても賞金の加算はしたかったのよね。
その上でオープンの萩ステークスに出走。
3番人気で3着。
勝って賞金を加算することはできなかったわ。
1番人気で出走したエイシンフラッシュは、3番手からレースを進めていったわ。
ペースは超が付くほどのスローだったけど、エイシンフラッシュ自身は折り合いを欠くなどはなかったわね。
3番手のまま直線を向き、そこからは上がり最速でアドマイヤテンクウを捉え初重賞勝ち。
これで無事にクラシックに進める準備は整ったわ。
京成杯からの休み明けということもあり当日の人気は11番人気だったわ。
だけど、後方からレースを進めると終始馬群は固まったまま進んでいったわ。
4コーナーでは前が壁になり進路が見つからなかったの。
それでも進路を見つけると伸び最後はヒルノダムールに差されたけど3着。
人気を考えれば上々だったわね。
1番人気は皐月賞馬ヴィクトワールピサ。
2番人気は無敗で青葉賞を勝ったペルーサ。
エイシンフラッシュは人気は上がったとは言え、7番人気での出走となったわ。
見くびられた皐月賞3着馬は、この府中の2400mで切れないものは無いほどの極上の切れ味を見せたのよ。
前半1000mが61.6とスローな流れに落ち着いていたわ。
手綱を引っ張る騎手も多く見えるなか、内田博幸とエイシンフラッシュはしっかりと折り合いを見せていたわ。
内田博幸は極限まで追い出しを我慢したわ。
残り300から追い出しにかかると、放たれた弓と言うスピードは瞬く間に前団を飲み込んでいったのよ。
最後はローズキングダムをクビ差凌いで1着。
その上がり3ハロンは2400では極めて異例な32.7と極上の切れ味だったわ。
内田博幸は悲願のダービージョッキーとなったのよ。
ダービー2着馬のローズキングダムとの叩き合いに負け2着。
不運なことに菊花賞を目指していたんだけど、筋肉痛を発症してしまい菊花賞を回避せざるを得なくなったのよ。
ジャパンカップを8着、有馬記念を7着で3歳シーズンを終えたエイシンフラッシュだけど、ここから出口の見えない真っ暗なトンネルに入っていくの。
そこにはもはやダービー馬の威厳やオーラなどは全くなかったようにさえ思えたわ。
年明けの大阪杯を3着と上々のスタートを切ったの。
続く天皇賞(春)はヒルノダムールの2着。
春のグランプリ宝塚記念は3着と善戦はしたけれど、勝ちきることは出来なかったわ。
有馬記念の時点では7番人気。
すでにダービー馬の信頼は無いに等しかったわ。
結果は6着。
帰国後は宝塚記念に出走するもここも6着。
秋は毎日王冠から始動するも9着。
もはやダービーがフロックと言われてもしょうがない成績になっていたのよね。
もう光り輝くことはないと誰しも思っていたわ。
その男とは…
『ミルコ・デムーロ』
イタリアが生んだ名ジョッキーを配し天皇賞(秋)に向かったわ。
2番人気はエアグルーヴの息子のルーラーシップ。
3番人気は3歳マイル王のカレンブラックヒル。
エイシンフラッシュは5番人気ではあったけど、上位人気馬とは水を開けられた形だったわ。
運命のゲートが開いたわ。
12番枠からスタートしたエイシンフラッシュを、ミルコ・デムーロは中団の内入れて脚を溜めていたの。
逃げたシルポートが作り出したのは、1000m通過が57.3の驚異のハイペース。
だけど、2番手のカレンブラックヒルの位置取りを考えれば2番手以降の流れは平均的かやや遅い流れであったかもしれないわ。
各馬が挙って外に馬を持ち出す中、ミルコ・デムーロはエイシンフラッシュをそのままラチ沿いを走らせたわ。
残り200mでシルポートを捕まえたエイシンフラッシュ。
後ろからフェノーメノやルーラーシップが追いすがるが先頭は譲らなかったわ。
ダービー以来の勝利が天皇賞。
今回のレースもメンバー最速の上がり33.1。
この馬にはスローペースの決め手勝負が合っていたのね。
それと、東京競馬場も合っていたんでしょう。
ウイニングランをしメインスタンド前に帰ってきたデムーロは驚きの行動に出たわ。
馬上からの敬礼なら見たことはあったけど、下馬しての敬礼にはさすがに鳥肌が立ったわ。
日本人よりも日本を愛していると思わせるジョッキーなの。
ダービーと言うこの上ない栄光を手にし、順風満帆な未来が待っていると思っていたわね。
だけど、待っていたのは闇の未来だったわ。
名前とは裏腹に光輝くことができたのはわずか6回。
それは闇の2年間を帳消しにするほど格別な勝利だったわ。
関わった数は多くないけど、我々ではわからない二人の絆があるんでしょうね。