2010年 35回 エリザベス女王杯結果
着 | 馬 | 騎手 |
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1 | スノーフェアリー | R.ムーア |
2 | メイショウベルーガ | 池添謙一 |
3 | アパパネ | 蛯名正義 |
2010年10月、日本競馬界に新たな歴史が打ち立てられたわ。
春に牝馬2冠を達成したアパパネが桜花賞を勝ち獲り、国産馬を父にもつ馬として初めての三冠牝馬となったのよ。
彼女が勢いそのままに挑むこととなった『第35回 エリザベス女王杯』には、ヨーロッパからある牝馬が参戦を表明していたわ。
イギリスオークスとアイルランドオークスを制したG1馬、スノーフェアリーよ。
日本で当代最強牝馬の名をほしいままにしたアパパネにとっては、自身の実力が世界に通用することを示す、またとない機会だったわ。
2010年11月14日。
エリザベス女王杯が国際競争となって以来、有数の実績を誇る海外馬が参戦したこの年。
日英の牝馬対決に大きな注目が集まったんだけど、当日の一番人気はアパパネだったの。
スノーフェアリーは日本の芝への適性が疑問視され、京都競馬場との相性が評価されたメイショウベルーガや、桜花賞でアパパネの2着だったアニメイトバイオに続く4番人気となったわ。
勝つのは日本の3歳三冠馬か、英国の名牝か、あるいは経験豊富な淑女たちか。
女王の座を賭けた戦いの火蓋が切って落とされたわ。
ゲートが開き、まずハナを主張したのはセラフィックロンプだったけど、第一コーナーで先頭に立ったのはテイエムプリキュア。
大逃げを目論み果敢に飛ばしていったわ。
人気のアパパネは5番手あたり、そのすぐ後ろにスノーフェアリー、アニメイトバイオが続いたの。
このとき馬群の状態は、先行した3頭を除いて皆ひとかたまりの団子状。
互いの間隔が近くなり、興奮してイレ込む馬が出るような状態だったわ。
後方にスノーフェアリーのマークを受けたアパパネもまた行きたがるところを見せたけど、鞍上の蛯名正義がどうにか愛馬の気を抑えてレースを進めていたわ。
後続集団に8馬身以上の差をつけた先頭の1000m通過タイムは60秒1。
平均的なペースで逃げるテイエムプリキュアを、かなり抑えたペースの後続馬が狙う展開だったわ。
先頭のテイエムプリキュアが第三コーナーの坂を下り始めたころ、2番手セラフィックロンプらが追い出しを開始したわ。
アパパネ鞍上の蛯名とスノーフェアリー鞍上のムーア、二人の手綱はまだ動かず、直線の追い比べで勝負をつける構え。
そして残り400m。
未だ粘るテイエムプリキュア目掛けて各馬が加速をつける中、早くもトップスピードとなって突き抜ける影が見えたわ。
インコースにつけたスノーフェアリーよ。
ロスなく最短経路を進み、更にムーアの仕掛けにも素早く反応した英国の名牝。
彼女はこの日初めて踏んだ日本のターフを、日本のどの馬よりも速く駆けていたわ。
外に出たアパパネは必死に仕掛けるものの、もうひと伸びが足りない。
そのさらに外側からはメイショウベルーガが猛烈な末脚で迫ったけど、既に勝負は決していたわ。
残り200m、先頭に立ったスノーフェアリーはその後も勢いを落とすことなく、そのまま2着に4馬身もの差をつけてゴールを通過したわ。
英国の樫の女王スノーフェアリーが、エリザベス女王の名を冠したこのレースを勝ち獲った初めての外国馬となったのよ。
この日3着となった3冠馬アパパネ、そしてアパパネを差して2着となったメイショウベルーガ。
日本の名馬たちに圧倒的な大差で勝利を果たしたスノーフェアリーは、翌年もまたエリザベス女王杯を制し、日本競馬界に世界の実力を見せつけることとなるのよ。